神様と違い、人間の行いには必ず間違いや誤ちが伴うものです。
通常では起こるはずがないと思われている電車の脱線事故、飛行機事故、船舶事故、ガス、発電、建設、その他諸々の危険な事故が毎日の様にマスコミなどで報じられています。
そしてそれらのほとんどが、人為的ミス、つまり人間の不注意や慣れや思い込みが原因の様であります。
さて、皆様の身近にある「くすり」、これも紛う方なく人間が作り出し、人間が人間に使う、それも直接人体へ作用させる、言わば一番生命にダイレクトに接している造り物です。
そんな訳で、その「くすり」を取扱う我々薬剤師には、くすりの保管、管理はもちろんの事、その安全性に対して、二重、三重の厳密なチェックが要求される事となります。
例えば一枚の処方箋を調剤する時、まずその処方箋のくすりの用量等がその患者さんにとって適切かどうか、服用の期間は適切か、又、薬歴簿などから他の病院や薬局、又は一般薬等との重複投与や、相互作用が無いか等を確認した後、調剤をします。これが最初のチェック、さらに調剤をした後、複数の薬剤師がいる場合、他の薬剤師が再度処方箋と調剤薬との付き合わせ監査チェックをします。 もし単独の薬剤師の場合、自分自らが他の薬剤師の立場で再チェックをします。その後、どの方面から見ても正しいと思われる調剤薬をさらに、服用方法、用量、保管方法、その他必要な注意事項(例えば食べ物、飲み物などとの飲み合わせ)等を説明し、必要であれば文書と一緒に皆様に良く御理解を戴きながらお渡しする事となる訳です。
しかし御存知の様に、それでも現在「くすり」に関しての事件、事故等の報道は枚挙にいとまがありません。
人間のする事に完全はありえませんが、事「くすり」に関しては百%以上の安全性が要求されて、しかるべきでしょう。又、その保管管理に関しては少し大げさかもしれませんが、薬局を含めた医療機関にとって、言わば、重要かつ危険な「バクダン」の様なものでも管理している、ぐらいの危機管理意識が必要でしょう。
しかし、くすりはうまく使用すれば、時に天の救いにも匹敵する有難いものです。
それにはそれを投与する側、される側のコミュニケーションが最も大切となってくる訳です。 もちろん皆様の御協力と御理解が必要な事は言うまでもありません。