薬の飲み合わせ

第4回 薬の飲み合わせ

石巻薬剤師会 副会長 高橋 義典/2017年2月17日(金)公開

最近私達の薬局にお医者さんから処方された薬や、説明文書を持参し、「この薬と併用できるかぜ薬を下さい」と言ったケースや、複数の医院にかかっている方が、「○○医院からこんな薬をもらっているのですが、今日の処方箋(せん)の薬と一緒に飲んで良いか」と言ったケースのように、相談的に来局される方が多くなって来ています。薬のリスクをより少なくするためにも大変良い事だと思います。

一方、処方箋をご持参の患者さんに「他に何か薬は飲んでいますか」とお聞きしますと「あるよ、血圧の赤い玉」とか「白いコロコロしているの」と言われることがあります。こんな時は正直困る場合があります。そこで、「申し訳ございませんが家に帰って薬を持ってきてください」とか、「電話でその薬を教えて下さい」とお願いします。過日、歯科の処方箋をお持ちのおばあちゃんが整形外科より薬をもらっているというので、ご近所でしたのでついて行って確認しますと、同系統の消炎鎮痛剤でした。

私達薬剤師は、飲み合わせによる副作用に、大変気を配ります。飲み合わせが悪いと、危険な副作用がでることがあります。特殊な薬でなくとも、誰もが普段気軽に飲んでいる熱さまし、痛み止めなどでも起きることがあります。ある業界紙に載っていた例を紹介しましょう。

肩が痛くて、A整形外科で痛み止めの薬を処方されていた患者さんが、膀胱炎でB泌尿器科より抗菌剤、ニューキノロンが処方され、その薬を併用して三日目の朝から、手足がしびれ、何回かフラッとする感じがしましたが、疲れと思い気にもとめませんでした。その後、耳鳴りがして気分が悪くなり、全身に痙攣(けいれん)が起きました。
救急病院で、頭部CTなど色々な検査をしたところ、いずれも正常。薬の飲み合わせによる副作用と診断されました。
市販の薬は、比較的安全性が高いと言われておりますが、それでも併用には十分注意が必要です。例えば、医師の処方により、血液凝固を抑える薬ワーファリンを服用している患者さんが、風邪薬を求めに来られた場合を想定してみましょう。

風邪薬の中に含まれている解熱剤が、ワーファリンの作用を増強し、副作用の出血が起きることがあります。
鼻血ぐらいで済めば良いのですが、脳内出血した場合には、命に関わる状態になることもあります。また、逆にその作用が減弱される場合もあります。例えば菌を殺す薬のセフゾンは、胃腸薬によく含まれているアルミニウムやマグネシウムを含む制酸剤と同時服用しますと、その効果が大変減弱します。せっかく化膿(のう)を止めるために服用したのに、その効果がでないのでは大変です。 このように薬は、その飲み合わせにより副作用を引き起こす場合があります。

このリスクをできるだけ少なくし、皆様に健康を勝ち取っていただくため、薬剤師は努力致しております。あなたの健康を守るための「主役」は常にあなたです。