当薬局では、金ピカのプレートが薬局のすみにひっそりと貼られています。そのプレートには「医薬品等安全性情報協力施設」と書かれています。この制度は、日常みられる医薬品の使用によって発生する副作用などの健康被害情報を、国が直接収集する制度です。全ての医療機関及び、薬局の医師・歯科医師・薬剤師は、どなたでも報告できます。報告書の出所や、患者のプライバシーに関連する部分は、非公開の扱いとなります。
当薬局での報告例を、プライバシーにふれないよう紹介したいと思います。OLで二十歳前半の女性の方です。円形脱毛が完治したばかりで、口のまわりのふるえと嘔気を相談されました。話を聞いたところ、ストレスがかなりありそうなので、神経内科の受診をすすめました。投薬は抗不安剤と情動安定剤が出されました。服用後七日目に電話がありました。胸が痛くて(乳房痛)、おっぱいが出る(乳汁分泌)とのことでした。内分泌機能の異常(副作用)を疑い、服用の中止をすすめました。その三日後に、本人が乳腺専門の外科を受診し、異常はないとのことでした。
処方医にそのことを報告するようお話しました。処方医からの説明では、この薬の副作用でしばしばみられる現象だとのことでした。投薬時には、その副作用の説明はなかったとのことでした。若い未婚の女性におっぱいが出たこと(乳汁分泌)は、かなりのショックだったと思います。
情報報告書には、被疑薬名・内服・七日間服用・副作用-乳房痛・乳汁分泌と記入し、報告者意見欄には、電話にて相談をうけ、副作用を疑い服用を中止させたが、あらかじめ副作用の注意がほしかったと追記しました。本制度は疑われる健康被害情報を、国が医薬関係者から直接収集することを目的とするものです。医薬品等との因果関係が不明確なものも、報告の対象としています。情報を収集することにより、専門家の評価のもとに医薬品等との関連性を判断でき、同種の副作用等の再発防止に生かせることになります。
皆さんも、どうか気になる症状があらわれたら、気軽に薬剤師にご相談ください。副作用と思われたら、きちんと説明すると共に国の方に報告などをする事によって、副作用防止に役立てていきたいと思います。